ITロードマップ 2020年版

もう2021年になってしまいましたが、ITロードマップ 2020年版を読んでみました。 なんとなく知っている分野・キーワードから、聞いたことないものまで幅広く網羅されており、相変わらず視野を広げるために毎年読んだ方が良いなと思っている書籍です。 2020年は時間に追われすっかり存在を忘れていましたが、ふと思い出しました。。。

普段は古いシステムのトランスフォーメーションをするプロジェクトに携わることが多いのですが、セキュリティに関しては今までのやり方では課題があるなと思っていました。 この本での発見はデジタルビジネスリスクの管理について。デジタルビジネスを創出する際には、テクノロジーの活用をもとにビジネスモデルも新しいものとなり、社内外に事例がなく自らリスクを見つけ出し管理していく必要があります。 そのためにはIT部隊だけではなく、リスク管理部門および各種ビジネスオペレーション部門と連携し会社全体でリスクを管理していく必要性が書かれていました。 リスク評価のテンプレート例やDSIRT/SSIRT(Digital/Service Security Incident Response Team)についても触れられており、サイバーセキュリティーだけの考慮では足りないことがよくわかる内容となっていました。


また、ピープル・アナリティクスについての記述も共感できる部分がありました。 従業員が慢性的なストレスによりパフォーマンスを発揮できなくなる「燃え尽き症候群」は、「コラボレーション疲れ」が理由の1つであると記載されています。 組織連携は

  • 業務量をコントロールしにくい

  • 過負荷になりやすい

  • 評価されにくい

といった特徴があり、このような従業員に対してはチーム間の関係性を定量化し、評価への反映をすることで解決している事例があるとのこと。 ここは実体験からよくわかり、おそらくこれらの理由により組織連携・コーディネーションを誰もやりたがらない状態という会社も多々あるのではないかと思います。

ピープル・アナリティクスの実現技術としては、ONA(Organization Network Analysis)と呼ばれるものがあり、アクティブONAとパッシブONAの2種類があるとも説明されています。 それぞれメリット・デメリットがあるのでうまく使い分けることで従業員のエンゲージメントを高め、企業の成長に活用できそうな雰囲気です。 ただ、やはり従業員がどのように働いているのかが可視化されるとプライバシーの問題も懸念されるので、そこをどのように克服するかが大きな課題となるとも言えそうです。

そろそろ2021年版も出版されるのではないかと思いますので、今年は早めに読むようにしたいところです。