逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知

逆・タイムマシン経営とは?と気になり読んでみた所、期待以上に楽しめました。

楠木建さんといえば、ストーリーとしての競争戦略が有名ですが、そこからブレることはなく戦略その物とそのストーリーが大事であるということにも触れられつつ、新しい視点で経営者に向けたメッセージが書かれています。

ちなみにこの本は杉浦泰さんとの共著となっていますが、楠木さん特有のキーワードのチョイスや言い回しが全面に出ている気がします(笑)

私はIT関連の仕事を生業としており、この本に書かれている飛び道具といったものを身近に感じつつ仕事をし、そしてビジネスへの貢献度も疑っていたので非常に共感できる内容でした。

とはいえ、ビジネスアイデアを持って自分で企業したわけではない凡人サラリーマンが画期的なビジネスアイデアを生み出すことは非常に難しく、限られた時間で戦略をたてる際にどうしても飛び道具に頼ってしまうという点は理解ができます。

加えて四半期ごとや年度末には何かしらの成果をレポートすることになるのですが、大した効果もないのにビジネスに貢献したようにアピールすることが多いということも良く見ています。

マスメディアや飛び道具サプライヤーが悪気はなくとも、飛び道具トラップを発動してしまうように、飛び道具を使った人たちもまたそのトラップの輪を広げるのに一役買っていると思います。

上場企業でもこのようなことが多数発生しているようですが、中小企業より財務力があるので飛び道具にも投資がしやすいのかもしれません。

私のような凡人サラリーマンが何も考えずに戦略をたてるようなことになると、間違いなく飛び道具に頼り切ってしまうでしょう(笑)

そんな機会が来るかはわかりませんが、この本にはビジネスの歴史を学ぶ重要性以外にどのように歴史を調べるかというノウハウも書かれているので、時間があればリアルに逆・タイムマシン経営を推進できるかもしれません。

ということで、経営企画や戦略企画、特にIT戦略企画などに携わる人にはお勧めの一冊だと思います。